Dear Doctors―医師への手紙
「問診」に思う
今吉 晃
1
1横浜市立大学病院
pp.21
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900694
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リハビリテーション医学において医師の問診は,患者やその家族に対しそれぞれの障害や生活に適した方向性を示して行く上でたいへん重要な作業であるが,その際,配慮すべきは過剰な期待を持たせ過ぎない点である.これは,治療手段を手術や薬物で行う診療科との大きな違いである.その違いを感じるのが,各診療科の主治医がリハビリテーションへ送り出す患者へかける言葉に現れている.「後はリハビリテーションだけです.一生懸命頑張って早く治って下さい」.この言葉は,リハビリテーションの建前と正反対の意味合いがあるため,実際にリハビリテーションが始まると患者の多くは「治ると思ったのに治らない」ギャップに戸惑うようである.この戸惑いがわれわれ理学療法士の訓練に支障を来すのは必至で,もう少し配慮した問診をしてもらいたいと考えることが多い.
もう一つ問診について思うことは,退院後も生活の軌道修正を示唆する問診が必要と思われる患者が多いということである.地域で家庭医の役割を持つ先生にも,いくつかの具体的提案を用意して定期的診察へ臨んで頂きたい.特に成人病や障害を持った患者に対しては,生活に視点を向けた問診が大切である.そのためには,医療をはじめ地域の保健・福祉に携わる専門職からの情報を,もっと有効に活用する必要があるのではないだろうか.
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