連載 人間として,医療人として―東海大「安楽死」事件はわれわれに何を教えたか・4
続・看護者たちの逡巡
奥野 善彦
1,2
1北里大学
2奥野法律事務所
pp.286-294
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900482
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東海大「安楽死」事件では,看護婦は1人も証言台に立つことはなかった.
この点につき,医師である永井明さんはその著書(『病者は語れず』,文藝春秋社)の中で,「この裁判を傍聴しつづけていて,とても気になったことがある.それは,なぜ看護婦さんが証人として法廷に出てこないかということだ.事件の現場に居合わせ,その前後にも直接あるいは間接的にかかわっているはずの東海大病院6B病棟勤務の看護婦さんが,1人として現われてこない.これはどうしてなのか.ごく素朴に考え,とても不自然な気がしてならなかったのである」と述べている(同書95頁).
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