特集 活性化を目指す
看護組織活性化の視点―リーダーシップを中心に
吉田 道雄
1
1熊本大学教育学部・教育実践研究指導センター
pp.206-211
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900171
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
求められる組織の活性化
看護婦は病院の顔である.もちろん,医師や事務スタッフがいなければ病院は成り立たない.しかし,なんといっても患者といちばん多く接触を持つのは看護婦である.看護婦は,病院の使命である質の高い医療サービスを提供するために,その最前線で仕事をしている.ホテルやデパートを考えてみよう.どんなに優れた経営者がいても,どんなにすばらしい経営方針があっても,フロントマンが無愛想だったり,店員が不親切であれば,泊まる気にも買物をする気にもならない.
第一線に立つ者がしっかりと仕事をして,はじめてその組織は評価されるのである.そのためには,1人1人の看護婦が自分の仕事に誇りを持ち,いきいきと仕事をしていることが必要である.ところが現実には,「患者の満足」だけに注意が向けられ,看護婦には自己犠牲の精神が求められることがある.しかし,「自己犠牲」の精神だけでは,人は意欲的に仕事をすることはできない.スタッフの意欲が低ければ,医療サービスの質も低下してしまう.求められるサービスを提供するためには,病院を看護婦たちがいきいきと意欲を持って仕事ができるような組織にしなければならない.そうした組織をつくりあげていくことが,「組織の活性化」なのである.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.