連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・26
おかえり看護師,私が選んだ道
寺本 美欧
1
1圏央所沢病院看護部
pp.1045
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202018
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ジョン・F・ケネディ空港を出発し,長くもあっという間の14時間フライトの末,日本に帰国した。この時点ですでに心に決めたことがあった。「卒業したら,私は臨床に戻りたい」。留学の強みは,可能性が広がることだ。修士号を持って基礎教育の道へ,語学を活かして国際機関へ,新しいネットワークを使って全く別のキャリアへ……。看護とは全く離れた業界の説明会に申し込んでみようかと思ったこともある。しかし,ふとした瞬間に臨床現場に戻りたい思いが脳裏にちらついた。一時帰国で,冬と夏にそれぞれ1か月程度前職の病院でパート勤務をした。離れてみたからこそ味わえる懐かしさ,新人さんと接した時の喜び,そして以前は気づかなかった新しい発見の毎日。ベッドサイドは,好奇心をくすぐる宝庫だった。現場の看護教育の質向上を目指して渡米した自分が,再び臨床に戻ることほどストンと腑に落ちる道が他に思い浮かばなかった。
6月に復職すると,馴染みあるスタッフたちが「おかえりなさい」と出迎えてくれた。変わったことはたくさんあるはずなのに,いつもと変わらない雰囲気の中に,自分が溶け込んでいけたことがたまらなくうれしかった。いわゆる「ブランク明け」ナースとなり,メモを取り学び直して新しい機器を覚えて,と目まぐるしい毎日を送っている。夜勤も始まり,リーダー業務まで任されるようになった。
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