連載 看護事故の舞台裏・23
CVポート感染をめぐる対応—チーム医療の盲点
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.1054-1057
発行日 2015年11月10日
Published Date 2015/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200328
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あらゆる病気の中で最も死亡率が高いのは,言うまでもなく「がん」です。日本人の2人に1人ががんにかかり,3人に1人ががんで死亡するようになりました。がんと診断された場合には,診療ガイドラインを参考に外科手術,放射線治療,化学療法などが検討され,医療チームが患者とともにがんと向き合うことになります。
中でも化学療法の進歩は目覚ましく,従来の代謝拮抗剤,アルキル化剤,抗がん性抗生物質,微小管作用薬,白金製剤などに加えて,近年注目されている分子標的薬など,がんと闘う上でさまざまな薬剤の選択肢が増えました。これらの多くは複数回の注射が必要ですから,治療期間が長くなるにつれ末梢血管の確保が難しくなりますし,また刺激の強い抗がん剤では静脈炎による疼痛のために注射を継続できない場合があります。そして,もし抗がん剤が血管外に漏れた場合には,皮膚に難治性の潰瘍を生じることもあります。
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