研究報告
病院スタッフが認識している多職種連携・協働の現状と課題に関する国内文献レビュー
佐藤 夏美
1
,
菅野 眞奈
2,3
,
深堀 浩樹
3
1前 東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学専攻
2横浜市立大学医学部看護学科老年看護学領域
3東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科看護システムマネジメント学分野
pp.504-509
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200206
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緒言
チーム医療は,複雑化した医療問題を解決するための取り組みとして注目されている1)。厚生労働省は,チーム医療推進のためには医療スタッフ間の連携・補完の推進が重要であるとしている2)。また細田は4つに分類したチーム医療の要素の1つに協働志向を挙げている3)。これらの報告から,多職種連携や協働はチーム医療を構成し促進する重要な要素と考えられる。
しかし連携や協働は定義づけ,共通理解が難しい。連携・協働に相当する英語が混同されているという研究や4),「専門職連携」と同義とみなされる単語が50以上存在するという指摘からも5),多職種連携・協働を個人や職種間で共通理解することの難しさが示唆される。また本研究に先立ち,病院スタッフが認識する連携・協働の現状,課題について調査した先行研究を概観しても,文献数は多いものの研究ごとに焦点を当てた場面設定や職種が異なり,かつ国内の文献レビューも行われていないことが示唆された。以上より,多職種連携・協働は,その促進が求められている一方,概念の共通理解が難しく,臨床実践において多職種連携・協働に取り組むことの困難性がうかがえた。
そこで本研究では,病院スタッフが認識する病院での多職種連携と協働の実際や課題を調査した国内の最新の文献から,多職種連携・協働を促進する取り組みの現状や,促進していく上での課題を明らかにすることを目的とした。本文献レビューは,わが国の臨床現場における多職種連携・協働の実際と課題を把握し,多職種連携・協働を促進していくための方略を検討することに有用であると考えられる。
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