特集2 “特定能力”をもった看護師が働く職場
日本において特定能力認証看護師が誕生するまで―NPの養成開始までの足跡と制度化に向けての活動
高野 政子
1
,
福田 広美
1
1大分県立看護科学大学小児看護学研究室
pp.302-306
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102400
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NP養成開始に向けての活動
なぜNPの養成教育に取り組んだか
日本では,1992(平成4)年の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の制定以来,看護学部,学科などを設置した大学の数が増加し続け,2011(平成23)年度には194校に達し,さらに,増加の一途をたどっている。大学院修士課程を設置している大学はすでに131校に達しており,修士課程の学生の入学定員は2144名となっている1)。このようななか,大分県立看護科学大学(以下,本学)では,大学院修士課程の目標の1つに高度な実践者を養成することを挙げ,2008(平成20)年度からNP(養成教育においては,NPとして養成教育を行なっているのでNPと記載する)の養成に取り組んできた。
高齢化が進み医療・保健に対する需要はますます増加し,患者さんのニーズも多様化している。保健・医療を取り巻く急速な環境の変化に対応するためには,大学院修士課程において高度かつ専門的な知識・技術を修得した看護職を積極的に活用していくことが必要な時期であると確信し,日本においてもNPの養成を実現することとした。NPはまだ日本では制度化されていない職種であるが,看護系大学院の修士課程を活用してNPを養成することにより,看護職の業務範囲を拡大し,自律性を強化し,国民に安全,安心な医療を公平にかつタイムリーに提供できることを期待した。また,このことが教育資源を確実に社会に還元する教育機関としての使命でもあると考えている。
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