実践報告
手術終了後の加温装置システムの効果的利用の検証―バスタオル・タオルケットによる熱喪失防止と加温効率向上の可能性
新倉 貴子
1
,
松下 博美
1
,
堤 福子
1
,
菊池 三代子
1
,
豊岡 恵
1
,
松戸 俊一
1
,
伊東 美緒
2
,
中尾 秀子
2
,
高橋 龍太郎
2
1東京都保健医療公社豊島病院
2東京都健康長寿医療センター研究所
pp.812-815
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102173
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はじめに
低体温は,シバリングによる酸素消費量の増加,末梢血管収縮による血圧の変動,覚醒遅延,血液凝固障害,免疫力低下による感染発症率の増加,創傷治癒の遅延などを引き起こす危険性があり,手術予後を左右するといわれている1,2)。手術中は,麻酔薬による体温調節中枢の障害と,手術室の環境により,低体温が引き起こされやすく,一度低下した体温を上昇させるのは容易ではない。よって,手術中のみならず手術後も体温管理は非常に重要である。
研究の対象となった手術室では,ウォーターパッド特定加温装置システム(以下,メディサーム)やエアパッド特定加温装置システム(以下,ベアーハガー)の併用により,保温を行なっていた。しかし手術終了後に,覆布を取り外すことによって加温効率が低下し,加えて皮膚に付着した水滴,濡れたシーツやバスタオルが蒸発によって冷たくなり熱喪失が起こっていると考えられた。
そこで,手術後も温かい空気の対流を持続させることが,効率的な保温方法であると考え,手術終了直後に保温したバスタオルとタオルケットを上半身用ベアーハガーの上から掛けた場合の体温の変化を調べることとした。
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