連載 王様の耳はパンの耳――この国の看護のゆくえ・13
広がる医療・看護の格差―フリーアクセスは本当にフリーなのか
大串 正樹
1
,
北浦 暁子
2
1西武文理大学 看護政策研究所
2NKN
pp.534-535
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101767
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- 文献概要
日本の医療の大きな特徴として,国民皆保険制度とともに,誰もが自由に病院で医療サービスを受けられるという「フリーアクセス」が挙げられます。世界的にも非常に優れたシステムで,自信をもっていいものです。これは,日本の医療制度を設計した際に,医療機関の「量」と「アクセスのよさ」に重点を置いたためです。目的,戦略が明確だったことも成功の要因といえます。
しかし,時代とともに,医療技術が進歩し医療施設はさまざまな設備を競い合うように導入してきました。財政的な体力のある病院は,設備・人材ともに潤沢となり,最新の医療サービスの提供をうたい文句に患者を集めています。一方で,地方の自治体病院や小さな病院のように,財政基盤の弱い病院では慢性的な経営難に陥っています。つまり,病院間の格差が深刻化しているのです。
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