連載 看護と医療政策を考えるヒント・5
DPCと経営
松村 啓史
1,2
1テルモ株式会社
2厚生労働省中央社会保険医療協議会
pp.801
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101561
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- 文献概要
DPCは2003(平成15)年度に全国82の特定機能病院を中心としてスタートしました。これは日本独自の急性期医療のマイルドな定額制です。2008(平成20)年度には,718病院まで拡大し,2009(平成21)年度は1200病院にまで拡大する見込みです。そうするとベッド数換算では,一般病床の50%が定額制となることを意味します。この拡大の背景には,導入病院に前年並みの収益を保証する優遇措置があります。しかし,この優遇制度も今年度から段階的に廃止する方向を示唆しています。なぜならアメリカが1980年代にDRG/PPS(疾病別の定額制)による医療費の大幅削減を行なったのに比べて,DPCでは医療費削減効果がそれほど大きくなかったからです。
一方,昨今の急性期のインフラ問題を踏まえて救急医療や高度医療については,新たな優遇制度で質を確保する方向です。また,有効な高額の新薬については,マルメにせず出来高算定を承認しています。例えば卵巣癌に有効な「リポソーム製剤ドキシル注20mg」などが挙げられます。
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