連載 王様の耳はパンの耳――この国の看護のゆくえ・1【新連載】
外国人看護師受け入れはどのように決まったのか―経済財政諮問会議と看護政策
大串 正樹
1
,
北浦 暁子
2
1西武文理大学 看護政策研究所
2NKN
pp.442-443
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101481
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「確かなもの」として信じていたことを疑ってみて,初めて見えてくるものがある。
質の高い看護の提供に必要なのは,看護職個人の努力だけでなく,看護職が活動する環境を規定する制度を変えることだ。そう言われ始めてから,これまでに,どれだけの画期的な看護政策が制定されたのだろうか。
残念だが,そんなものはほとんどないのがこの国の看護の現状なのだ。
迷走する医療政策が,医療現場に深刻な悪影響を与えていることが指摘されている現在,看護実践をさまざまな形で規定してきた制度や政策に対して,これまでと変わらぬ視点で理解しようとすることははたして有効だろうか。
現場の声を聞き,国民のために政策を行なうはずの王様の耳は,ロバの耳どころかパンの耳かもしれない。現実に動いている制度や課題を敢えてこれまでとは異なる切り口で解説するのが本連載のねらいである。前提を疑って医療・看護のアジェンダを見ていくと,これまでにない視界を得ることができる。それはやがて,この国の看護のゆくえを見定める力を生むと信じたい。
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