特集 地域医療を守る「10対1」病院は何をめざすか
地域の特殊性に応じたオリジナルなアイデアで活力ある看護実践を
佐藤 美子
1
1関越病院看護部
pp.830-835
発行日 2008年9月10日
Published Date 2008/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101303
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
2006(平成18)年度の診療報酬改定では,看護人員の実質配置となる7対1入院基本料が設けられるなど,マイナス改定にもかかわらず,これまでにも増して看護のマンパワーを確立するうえで大きな変革がもたらされた。看護管理者には,この機会を収益の向上のみにとどめるのではなく,量の確保から質の向上にいかに転換していくかが問われることとなった。
しかし,地域に根ざす中規模病院においては,昨今の看護学生に大病院志向・安定志向が広がるなか,国公立病院や大学病院が定員を大幅に増員させたことの影響を大きく受ける結果となった。マンパワー確保のための求人活動の成果は得られず,看護師確保・定着に一層の努力が必要となっている。
そのような状況下で,2008(平成20)年度の診療報酬改定が行なわれ,7対1入院基本料の算定要件に看護必要度や医師の配置数などの新たな条件が加味された。また,10対1入院基本料についても,若干の引き上げが行なわれた。
こうした診療報酬の大きな流れのなかで,地域の急性期病院の看護管理者として,何を自分のコアとして守り続けていかなければならないのか,また,新たに構築していくべき指針は何なのかについて,将来を見据えて考える岐路に立たされていると感じている。本稿ではそうした視点から現状を分析し今後の方向性を探ることとしたい。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.