連載 彷徨い人の狂想曲・3
流し雛
辻内 優子
pp.238-241
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100805
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赤ん坊が横たわっている。
息はしているのか,寝ているのか。これは夢か。
そうだ,これは夢だ。この赤ん坊は私の子どもじゃない。どこか知らない人の子ども。生きているのか,死んでいるのかなんて私には関係ない。
この目の前にある立派な雛飾り。マンションの狭いリビングには不釣合いな大きな雛飾り。姑の存在がこの雛飾りのように私の心にのしかかる。
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