FOCUS
Staphylococcus属菌検査の再点検
加地 大樹
1
1国保直営総合病院君津中央病院医療技術局臨床検査科
pp.848-851
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209061
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はじめに
Staphylococcus属菌は,ヒトや哺乳動物などの皮膚や粘膜に幅広く分布し,クラスター状に増殖する通性嫌気性のグラム陽性球菌である.菌種は遺伝子学的手法により分類が進み,2000年ごろには30菌種ほどであったが,2023年5月現在64菌種と倍近くに上る1).菌種が増加すれば,菌種の同定にはより多くの知識が必要となるが,質量分析装置の急速な普及により容易に菌種同定が行われるようになった.その結果,得られた菌種をそのまま報告できるようになった施設も少なくない.しかし,感染症治療への診断支援(diagnostic stewardship:DS)の実践をしていくには,菌の性状や特徴,患者背景,病態,薬剤感受性試験結果,疫学などの知識や技術を学び,それらを同定菌名に付随して報告することが重要となる.
本稿では,Staphylococcus aureusを中心に,最近の話題に触れるとともに,臨床上重要な菌種や薬剤感受性試験の注意点にフォーカスを当て記述する.
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