連載 Beacon Lamp・12
今もどこかで起こっている紛争の現状を伝えたい[山本美香さん]
内木 美恵
1
1日本赤十字看護大学大学院
pp.969-971
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100702
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「初めて目の前で同じ仕事をしている記者が死んで行くところを見たときは,“明日はわが身”だと思いました」。そう話すのは山本美香さん。2003(平成15)年のイラク戦争開始直後,バクダットのホテルが爆撃され外国人記者が死亡したとき,隣の部屋に滞在していた日本人女性記者である。帰国してから,1年間は「バスの走る轟音が空爆に思えるなど,ふとした瞬間に戦場の体験を思い出し,命を脅かされているという恐怖感が消えることはなかった」と,死に直面したことによるトラウマが残った。それでもなお,現地に行きたいという強い気持ちと,自分なりの心のケアをみつけ,訪問し続ける。この日も,レバノンでの戦場取材から帰国したばかりであった。
山本さんは紛争記者,特にビデオジャーナリストという仕事を選び,さまざまな苦難を乗り越えてきた。筆者は,山本さんのキャリアや活動の原動力に共感し,そして危機管理に対し自分がいかに“準備不足”かを知った。
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