特集 院内暴力にどう対処するか
練馬総合病院における院内暴力・暴言に対する取り組み
高橋 礼子
1
1練馬総合病院看護部
pp.994-1001
発行日 2004年12月10日
Published Date 2004/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100581
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はじめに
医療機関における患者・家族からのクレームは多種多様であるが,ここ数年で暴力行為を伴うクレームなど悪質なものが増えてきた感がある。日本看護協会が実施した全国の病院の保安体制に関する調査(2002年10月)によると,約3割が「過去1年間に患者から職員への暴力(暴言含む)があった」と回答しており,そのうち6割が「特に夜間の保安体制が不十分」と回答している。
また,保健医療分野における職場の暴力に関する実態調査(2003年)では,現場に勤務する職員に対する暴力行為(身体への暴行,脅迫・威嚇の意図のある暴言など)の増加が指摘され,世界的に問題となっている。
こうしたことは,練馬総合病院(以下,当院)も例外ではない。過去の事例から防犯カメラの設置や警備員を配置した経緯があるが,院内での暴力・暴言に対して職員が制止しきれなかった場面や,単なる精神論やハウツー的な発想では対応しきれない現状にも遭遇した。
近時,医療事故をめぐって医療機関側に対する指摘がマスコミで頻繁に報道され,問題が深刻化するなかで,患者の権利意識や顧客志向意識が先行している。しかし,患者の権利同様,職員が安全に安心して働けること,すなわち職員の権利を守ることもきわめて重要である。
当院では,夜間帯で人手のない時間に暴力に発展した事例の報告を契機に,医療安全推進委員会で検討し,Root Cause Analysis(RCA,根本原因解析)を導入して(コラム),分析し,対策を立案した。本稿ではその内容を紹介したい。
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