連載 エイズと共に生きる人々と看護職者たち in タイ[2]
地域社会では偏見と差別はなくなったのか?
近藤 麻理
1
1兵庫県立大学看護学研究科博士後期課程
pp.881-885
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100561
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近年のタイでは,県立病院や地域病院にエイズと共に生きる人々のためのデイケアセンターを設置するところが全国的に多くなりました。1990年当初は,病院内での治療中心だったエイズケアですが,爆発的なエイズ患者の増加に対して医療施設の受け入れが不可能になったこと,政府の無料配布による治療薬の普及が広がったことなどから,地域社会のなかで継続治療を受けながら地域で共に生きていくためのシステムが整えられたのです。デイケアセンターを実際に運営しているのは,特に田舎においては看護職ですからその責任は重大です。しかし,試行錯誤しながらもしっかり機能しているところもあれば,まったく形骸化しているところもあるようです。
そうしたなかで,看護職者が社会問題に関わり,新しいことに真正面から取り組んできたこの20年で,地域社会における偏見と差別はなくなったのでしょうか。あるいは,単に表面化していないだけなのでしょうか。今回は,エイズと共に生きる人々の視点からそのあたりを考えてみたいと思います。
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