BOOK MARK
―根拠に基づいた卓越性の構築―Building Excellence Through Evidence
L. Aiken
,
叶谷 由佳
1
1山形大学医学部看護学科地域看護学講座
pp.518-519
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100504
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世界の看護職の職務満足度,バーンアウト,離職希望
看護ケアのアウトカムに関しての国際的な流れとして,まず,International Hospital Outcome Study(IHOS)についてご説明します。IHOSとは,病院組織と看護職員配置や患者のアウトカムとの関連について研究することを意図して行なわれた研究プロジェクトです。ペンシルバニア大学看護学部が中心となって,アメリカ,カナダ,イギリス,ドイツ,ニュージーランドの5か国が参加しました(その後,スイス,ロシア,アルメニアで,追試験実施)。これら5か国約600病院の約5万人の看護職を対象に調査し,数百万人の患者のアウトカムデータを入手しました。そこから,看護職が質の高いケアを提供するためには,現在の看護職員配置では不十分という結果が得られました。
さらに,ドイツを除く4か国の看護職の1/3から半数がバーンアウトに陥っており,40%以上が仕事への強い不満を訴えました。アメリカとカナダでは,約半数が「病院のケアの質は低下している」と答え,ニュージーランドやイギリスでは1/3が同様の答えをしました。ドイツが外れ値である理由は,1999年時点で,ドイツの入院日数が最も長いことにより他国と比較して業務量が少ないことによります。また,この調査に参加した看護職の4人,もしくは5人に1人が「翌年病院を辞める予定がある」と答えました。
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