絵本
『ぼくの血 みんなの血 あたたかい贈りもの』を読んで
大井川 春恵
1
1日本赤十字社医療センター
pp.692
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100229
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この絵本の素晴らしいところは,まず表現豊かでダイナミックな絵です。小さな少年の鼻から出た鼻血が,コミカルなキャラクター「血液くん」となって飛び出すところからストーリーははじまります。あとを追いかけるとそこは小さくて大きな世界。実はみんなの体の中です。大きなドーナツをせっせと運ぶ健気な小人の血液くん,怪獣と化したばい菌に勇敢に立ち向かう巨人の血液くん。それはまるでヒーローのようです。この絵で展開されるストーリーは,あっという間に読み手の心をつかみ,親密さをもたらします。主人公の少年の鼻から飛び出す「血液くん」に,はじめは毛を逆なでしておびえたネコくんも,一緒にいるうちにとても仲良しになります。
ストーリーの終盤では,血が少なくて弱っている人が出てきます。もはや主人公の少年とネコくんにはそれがとってもつらいことだと知っているので心配でたまらなくなるのです。そしてそこで血液くんの新たな活躍があり,みんなの笑顔がもどってきます。
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