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先日,内科の指導医に招集がかかり,一人の研修医についての緊急会議が行われました.ある指導医が,かっとなったのか,あるいは熟慮のうえなのか,内科の研修部長だけでなく大学病院全体の研修部長にまで,その研修医を名指しで,研修態度の悪さ,責任感のなさ,反省の色がみられないことについて糾弾した公式の手紙を送ったのです.文面の激しさから思わず感情的になって書いたものかと思いましたが,メールではなく,正式なレターヘッドのついた紙にサイン入りです.長い間,腹に据えかねていたであろうことも推測できました.
招集がかかったのは,他の指導医から本当にその研修医がそんなにひどいのか,情報を集めるためでした.僕の印象では,がつがつ食らいついてくる熱心なタイプではないですが,患者,看護師とのコミュニケーションも無難にとれていたので,その指導医の評価は意外に思えました.ほかの指導医も同じような印象をもっていたので,今回は文字通りに手紙の内容を受け取ることにはなりませんでした.ただ正式な手紙として複数の研修部長に出されたものを,いかに処理するかで話が長引きました.公式のファイルにそれを収めると長期保存することになるそうです.その評価がかなり極端だったこともあり,結局,両者を呼んで事実確認することもなく,「ある指導医から,斯く斯くの指摘があったので,心して研修に当たるように」と内科研修部長が研修医に伝えることになりました.本人にしたら,一方的な手紙に対して皆の前で反論したいこともあるだろうと思いましたが,それを含めて研修部長が受けとめることになりました.一方,怒りの手紙を書いた指導医への対応も研修部長が引き受けたそうです.こちらを一体どう丸く治めたのか気になるところですが,そこは謎に包まれています.
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