総説
多胎家庭における母子愛着関係の発達とファミリーサポート上の課題
服部 律子
1
,
早川 和生
2
1岐阜県立看護大学
2大阪大学医学部保健学科
キーワード:
双子
,
母子愛着
,
育児支援
Keyword:
双子
,
母子愛着
,
育児支援
pp.229-237
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900674
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はじめに
近年の生殖医療の進歩に伴い,多胎児の出生は増加している。わが国の1950〜1970年代の双胎の出産率は出産1000に対し6.3〜6.4程度で一定していたが(今泉,1993),1980年代後半より,不妊治療が普及しはじめるようになると,母体の高年齢化という要因も加わって(今泉ら,1993,1997)増加に転じ,1998年では9.17まで上昇している(厚生省,1999,p.56)。品胎に関しても同様の上昇傾向があり,多胎児の問題は周産期医療,そしてその後の母子保健や教育福祉の領域においても,今後の重要な課題となってくる。
一般に胎児の数が増えるほど周産期死亡率は高率になり,わが国の統計では,1980〜1991年での単胎の周産期死亡率は出生1000に対し7.7であるが,双胎では46,品胎では89,四つ子は117と胎児数が増えるに従って急増している(Imaizumi,1994;今泉,1994)。早期新生児死亡をみると単胎では2.5であるのに対し,双胎では16,品胎では44,四つ子91である(Imaizumi,1994;今泉,1994)。多胎分娩では早産率が高く,低出生体重児,特に極低出生体重児の占める割合が多くなってきている(Powers & Kiely,1994;Kogan et al.,2000)。
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