焦点 感染看護に関する研究と実践
重症患者ケア後のナース手指付着菌と石鹸・流水による手洗い後の手指生残菌に関する研究
高橋 泰子
1
1東京大学大学院医学系研究科(看護体系・機能学分野)
pp.323-329
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900517
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はじめに
病院内における感染伝播の原因の一つとして,医療従事者の手指が媒介となる汚染が知られている。近年,医療従事者が汚染物にさわって汚れた手で,汚れたことを知らずに次々と汚染を広げていくというパターンが,実験的にも検討され明確になってきた1,2)。このような,医療従事者,特に我々看護婦自身による汚染物の媒介を防止するために,患者ケア前後の手洗いは,日常欠かせない重要な作業である。
著者らは,MRSA感染患者ケア後の手袋付着菌を検討し,患者との接触度が高い体位変換やシーツ交換などのケアの方が,点滴調整や下膳など患者との接触度が低いケアよりも付着菌量が多く,またMRSAの付着率が高いこと,一方接触度の低いケアであっても,患者および環境との接触があった場合は,MRSAが手袋に付着するケースがあることを報告した3)。
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