焦点 感染看護に関する研究と実践
膀胱留置カテーテル装着患者の尿路感染成立と影響する因子についての検討
井上 都之
1,2
,
宮沢 広恵
1
,
田村 正枝
1
,
石川 みち子
1
,
高橋 泰子
3
1長野県看護大学
2長野県看護大学病態治療看護学講座
3東京大学大学院医学系研究科
pp.303-311
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900515
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はじめに
経尿道的膀胱留置カテーテル(以下,膀胱留置カテーテル)は現代医療において重要な部分を占めており,尿路の閉塞を取り除く,尿失禁を防ぐ,重症患者の尿量,尿成分を測定するなどの目的で広く使用されている。一方で膀胱留置カテーテルは院内尿路感染症の主たる原因となっており,グラム陰性桿菌による敗血症はときに致死的な状況をもたらす1)。閉鎖式留置カテーテルを使用した最良の方法を用いても,膀胱尿における細菌定着は2週間で半数以上に現れ,避けることが不可能とされている2)。
医療上不可欠なものではあるが,尿路感染を引き起こす可能性の高い膀胱留置カテーテルの問題については,数多くの研究1)がなされてきた。しかしそれでも日本国内において,膀胱留置カテーテル操作に関する手技は統一されておらず,膀胱留置カテーテル操作に関連する感染についての医療従事者の認識も一様ではない。外尿道口のケアについては病院間での大きな相違が存在している。このような状況の中で,膀胱留置カテーテルが誘因となって尿路感染を引き起こす過程,他因子との関連を検討するために本研究を行なった。
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