原著論文
化学療法を受けている癌患者のQOLについて—入院医療と在宅医療の比較から
山田 雅子
1
,
長谷川 朝子
2
,
松浦 千恵子
2
,
陳 瑞東
3
1セコム在宅医療システム(株)看護部
2癌研究会附属病院看護部
3癌研究会附属病院婦人科
pp.425-434
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900418
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はじめに
インスリンの皮下注射をはじめとする在宅自己注射療法がわが国における健康保険の1項目として認められたのは,1981年のことである。それ以来インスリン注射は,在宅で患者が自ら行なうものであるとする考え方が1つの常識として認識されるまでに普及してきた。癌患者に対する化学療法も,インスリン自己注射と同様,健康保険制度上は自己注射療法の枠組みの中で扱われている(1990年)が,いまだそれが常識のように全国に普及しているとは言いがたい状況にある。
米国では,癌患者に対する化学療法やAIDS患者に対する抗生物質療法などを,入院せずに患者の自宅で実施することが日常的である。それを可能にしたのは,Diagnostic Related Groupsの導入により,患者の療養の場が病院から在宅へ急速に移行したという政策的な変化と,その変化に応じて看護婦たちが新しい役割の獲得を系統的に実践してきたという努力であったと言えるであろう(Williams,1995;Hamric,1989)。
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