焦点 在宅ケアのアウトカム
MDS-HCの開発と在宅ケアのアウトカム研究
池上 直己
1
1慶應義塾大学
pp.365-376
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900413
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はじめに
医療の質を評価する際は,アウトカム(患者の状態の変化)に基づいて行なうのが理想であるが,現実にはそれは難しい課題である。その理由は,アウトカムの良し悪しは,医療サービスばかりでなく,患者自身がそれぞれ持っているもともとの性質によって規定されるので,後者の影響を取り除いて医療の質を評価するのは難しいことにある1)。
そこで,医療サービスによるアウトカムの違いを比較するには,でるだけ同じ性質を持ったグループを分析の対象とする必要がある。具体的には,患者を無作為に,新しい医療サービスを受ける介入群と,従来の医療サービスを受ける対照群に分け,両群のアウトカムを比較する方法(無作為化比較対照試験),あるいは,対象となる医療サービス以外はできるだけ同じ性質になるように2群を設けて比較する方法(ケース・コントロール・スタディ)などがある2,3)。
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