焦点 看護ケアパラダイムの変換をめぐって
解説
看護婦のエンパワーメントに関する考察—個人およびチームにおける現象の分析と研究課題の焦点化の試み
近澤 範子
1
1兵庫県立看護大学
pp.473-484
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900369
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はじめに
臨床に身を置く看護婦は,日々の実践の中でしばしば無力感を覚える状況に直面する。これは私自身,10年間の看護実践の中でたびたび体験したことであり,また,現任研修や研究会などの機会に,入院患者への対応の困難な局面について現場の看護婦諸氏と検討しあう際に,よく耳にすることでもある。
患者のニーズを察知しながらも「何もしてあげられなかった」,あるいは「主治医の方針のもとではどうすることもできなかった」という何年も前の体験について,自責の念とともに切々と語る場面に立ち会うたびに,無力感を抱いた体験を風化させずに持ち続けている看護婦が決して少なくないことを痛感させられる。
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