特集 国際シンポジウム「家族看護学研究の動向:患者と家族のQOLの向上と看護の充実をめざして」
第III部 援助システムから見た家族看護学研究の動向
基調講演・1:実践方法論の適用:家族を基盤にすえた対象理解
薄井 坦子
1
1千葉大学看護学部
pp.191-202
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900195
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シンポジウム最終日となり,このシンポジウムのキイワーズは,‘あうんの呼吸’となったようです。私は昨日,わが国の看護上の問題のほとんどは,‘あうんの呼吸’にもたれかかって感情のずれを激化させたものである,という性質を抽きだしました。そして,その解決もまた,日常の小さな場面で‘あうんの呼吸’を取り戻すためのかかわり(intervention)にあるという結論になりました。今日私がお話する例は,タテ社会と家制度のなかを生きてきた人々のまさに日本的な例です。
私は日本の看護をよりよくするための理論構築に向けて,現場の看護婦が対象をどのように見つめ,どのように認識し,どのような判断を下し,どのようにかかわっているのか,という事実に取り組み,看護できないと困っている看護婦が,看護できそう,と変化することのできるファジーなモデルをつくってきました。人間はファジーな存在であり,患者-看護婦関係もファジーに進行します。そして,看護理論は,その場その場で看護婦の行動を導くものでなければならないと考えるからです。本シンポジウムへの参加が決まった時,私のあたまに浮かんできたある事例をもとに発表します。
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