原著論文
慢性病患者の看護援助の構造化の試み—糖尿病専門外来看護の臨床経験を通して(その1)
正木 治恵
1
1千葉大学看護学部
pp.621-649
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900174
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序 章
1.本研究の背景
1) 臨床看護の本質
本研究は臨床看護,すなわち看護実践を基礎におく。
Sarvimäkiは1)看護ケアの本質を,道徳的,実践的,伝達的,創造的な活動として定義した。Mayeroffは2),1人の人格をケアするとは,最も深い意味で,その人が成長すること,自己実現することを助けることであるとし,ケアにおいて第一義的に重要なのは,結果よりも過程の方であると論述している。Bellahは3),実践の目的は,何かを生産したり統制するのではなく,現在の条件下で,倫理的に良い人生を生きるのに最も適切な方法を,自由な市民の間で相互に話し合い,内省することを通して発見することであるとしている。Coxは4),Interaction Model of ClientHealth Behaviorで,患者の個別性に応じた患者-看護婦関係をつくっていくことがその中心であると述べている。Wiedenbachは5)臨床看護実践の行為は,〈援助へのニーズ〉を満たすことができるように訓練された看護婦の思考と感情によって導かれると述べている。また,薄井は6)看護論の柱を,どのような対象に(対象論),どのような意図で(目的論),どのようにして展開するのか(方法論)の3点におき,その連関において看護婦の認識のあり方を強調している。
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