特集 質的研究と研究倫理—研究を育てる倫理の在り方再考
質的研究におけるARO的な研究支援の可能性—研究倫理審査委員会の運営経験者の立場から
北尾 良太
1
1大阪歯科大学看護学部
pp.444-451
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202246
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はじめに
質的研究は近年,医歯薬系学問分野の発展に貢献できる研究手法として徐々に認知されつつある。わが国唯一の政府発行系の研究倫理指針「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(厚生労働省・文部科学省・経済産業省,2024)(以下「指針」)のガイダンス文にも,生命科学・医学系研究の定義として,「人文・社会科学分野の研究の中には『医学系研究』に含まれないものもある」とする一方で,「個人の健康に関する情報を用いた疫学的手法による研究及び質的研究…(中略)…も含まれる」と明記されている。このことはつまり,看護学を含む医療や福祉に関わる領域における質的研究も,本指針にもとづく規制下にあるということを意味する。規制下にある質的研究ということは,当該指針にもとづいた倫理審査委員会での事前審査が必須となる(賛否の如何は別として)こともあわせて理解しておきたい。
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