特集 EBPから実装へ2 実装科学と社会への普及
実装科学の理論と研究デザイン
i-PARIHS Framework
二見 朝子
1
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻高齢者在宅長期ケア看護学分野
pp.193-201
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202200
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i-PARIHSとPARIHS
本稿で紹介するi-PARHIS Framework(Harvey & Kitson, 2016)は,1998年に発表されたThe Promoting Action on Research Implementation in Health Services(PARIHS)Framework(Kitson, Harvey, & McCormack, 1998)が改訂されたものです。PARIHSとは,臨床実践とヘルスケアの実際の状況において,エビデンスの実装に影響を与える要因の複雑な相互作用を説明する枠組みです。
開発者のGill Harvey氏とAlison Kitson氏(以下,開発者ら)はいずれも看護師資格をもった研究者であり,PARIHSを開発するきっかけとなったのは,開発者らがヘルスケアを改善する取り組みのサポートをしたことでした。その際,既存の実装科学のモデルにおいては,実装のプロセスはかなり単純な一連のステップとして示されているにもかかわらず,実際に進めようとすると難しく,予測不能で,かつ挑戦的でやっかいであり,現実に起こることがモデルには反映されておらず,不十分なのではないかということに気がつきました。そのような取り組みを様々なチームで行っていく中で,実装の関係者が直面する問題は,実装の複雑性に関する問題であり,いずれも類似するものであったということです。その経験やケーススタディに基づいてPARIHSが開発されました。
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