特集 質的研究成果の実装と査読の役割—看護学における質的研究の現在:QUARIN-Jセミナーより
ディスカッションとセミナーのまとめ
グレッグ 美鈴
1
,
麻原 きよみ
2
,
萱間 真美
3
,
木下 康仁
2
,
西村 ユミ
4
,
山本 則子
5
1名桜大学大学院看護学研究科
2聖路加国際大学大学院看護学研究科
3国立看護大学
4東京都立大学大学院人間健康科学研究科
5東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻
pp.46-49
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202171
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質的研究論文を実践で活用できるようにするためには?
グレッグ ディスカッションの司会を麻原きよみ先生とともにつとめますグレッグ美鈴です。ではいまから,本日登壇された先生方によるディスカッションを行い,質的研究に関する議論をより深めていけたらと思います。まずは私からの質問として,木下先生から「実践への活用の示唆」を強調するというご提案がありましたが,論文を実践にもっと活用できるようにするためにはどうすればよいか,お考えをお聞かせいただけますでしょうか?
木下 査読には方法の評価と内容の評価があるとお話ししましたが,実践に活用するという点から考えると,やはり内容のほうの評価が重要です。しかし,結果に示された内容が「それはそうかもしれないが,何が新たに明らかにできたのか?」といった受け止められ方があること—これは内容の評価の問題—と,「どのように分析したらその結果になったのか?」という分析方法への疑問があって,実際には内容よりも方法のほうが評価しやすい面があることから,内容に対する評価が難しくなっているように思います。ですから,査読者として内容の評価がきちんとできているかどうか,採否の判断の根拠にしているかどうかという点を強調したいと思います。また,優れた実践を研究論文にまとめ,それによって導かれた結果や理論を,次の実践に応用していくというサイクルがあると思うのですが,その道筋をどうつくっていくかという点も,実践に活かすことにつながると思っています。
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