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はじめに
日本看護系大学協議会(Japan Association of Nursing Programs in Universities;JANPU)(http://www.janpu.or.jp/)は,前身である「看護系六大学協議会」が,1974年(昭和49年)に発足したことに始まる。その名の示すようにわずか6大学からのスタートで,その後は10校の時代が10年あまり続いたが,1990年代に入り急速に看護学士課程の設立が加速し,設立から45年を経た2019年4月現在,会員校数は283学部教育課程註1となった。また,修士課程を有する大学は183校,博士課程を有する大学は101校で,CNS/NPの教育課程を含む大学院は,109校となっている。2019年4月現在の学部入学定員はおよそ2万5,000人で,全看護師養成機関の総入学定員の約4割を占めるに至った。2018年度の第108回看護師国家試験では,大学卒業者の国家試験の合格者は全合格者の36%を占める,2万618人であった。
2010年には本協議会は一般社団法人となり,より社会的な役割と責任を担う団体となった。本法人の定款(http://www.janpu.or.jp/outline/rules/)には,「本法人は,看護学高等教育機関相互の連携と教育によって,看護学教育の充実・発展及び学術研究の水準の向上を図り,よって人々の健康と福祉へ貢献することを目的とする(定款第2条)」とある。また,この目的を達成するための事業として,1)看護学教育に関する調査研究,2)看護学教育の質保証・向上,3)高度実践看護師教育課程の推進,4)看護学教育に関する政策提言,5)看護学の社会への啓発活動,6)看護学関連団体並びに国内外の諸機関との相互連携及び協力,7)その他,本法人の目的を達成するために必要な事業と規定している。現在は,8つの常設委員会と,3つの臨時委員会を中心に事業を展開している。
さて,本特集テーマである「看護研究」に対して,本協議会はどのような立場で関わってきたか,また関わっていくのか。定款の目的に照らすと,「看護学教育の充実・発展および学術研究の水準の向上を,教育機関相互の連携と教育によって貢献すること」であると考える。本稿では,看護学研究や看護学研究者を支える基盤を,看護学教育の質保証を通して整えていくことという観点から,1)看護系大学教員の確保と人材育成,2)看護学教育の質保証,3)政策提言および他団体との連携の3点について述べる。
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