事例報告
温熱療法が神経障害の改善に有用であった好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の一例
斉藤 静子
1
,
押方 智也子
2
,
豊田 依里子
1
,
田中 幸子
1
,
森田 春美
1
,
樋口 裕子
1
,
釣木澤 尚実
2
1国立病院機構相模原病院看護部
2国立病院機構埼玉病院内科
pp.68-72
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201477
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はじめに
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis:EGPA)に好発する多発単神経炎は麻痺やしびれを伴い,耐え難い痛みのために日常生活動作に支障をきたすことがある。理学療法や作業療法などのリハビリテーション(リハビリ)は薬物療法と同様に重要な治療の一つであり,診断後の治療早期から実施することにより,神経障害の改善,進行の遅延が期待できる。また,補助療法としての温熱療法は神経・筋に対する作用と循環機能に対する作用により,しびれや痛みの緩和に対して有効である(櫻井,前田,2013)。近年では慢性疼痛に対して集学的疼痛治療プログラムが進歩し,その中で温熱療法を含む物理療法は直接的な生体反応の賦活に寄与するばかりでなく,疼痛緩和等による精神機能面に対する効果も担っている(牛田,2011;山下,2011)。
入院生活ではリハビリを行なう時間は限られており,EGPAによる重度の神経障害を伴う患者の神経症状の回復は遅い。病棟において,看護の一環として施行している温熱療法の継続が身体的・精神的苦痛の改善において有効であった事例を経験したので,報告する。
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