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はじめに
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco;以下,UCSF)は,1873年に設置されたアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市にある州立大学である。保健医療分野を専門にした大学院大学であり,4つのキャンパスと,市内にさまざまな関連施設を有している。学部をもたないことが特徴で,Medical center,小児病院,4つの大学院(歯学,医学,看護学,薬学)から構成される。在籍者数は学生数2940名,研修医1620名,ポスドク1030名。看護系の学生数は合計476名である(表1)。
われわれが訪問したSchool of Nursing(看護学部)は,最も長い歴史をもつメインキャンパスであるParnassusキャンパスの中に建物があり,Medical centerやMedical sciencesと隣接した場所に位置する(写真1, 2)。School of Nursingは5つの専門分野(Community Health Systems,Family Health Care Nursing,Physiological Nursing,Social & Behavioral Sciences,Institute for Health & Aging)があり,5つのリサーチ・センター(「Center for Global Health」「UCSF Center for Nursing Research & Innovation」「The UCSF/John A. Hartford Center of Geriatric Nursing Excellence」「UCSF Health Workforce Research Center on Long-Term Care」「The Institute of Health & Aging」)を有している。
US News & World Reportによると,UCSFのSchool of Nursingは,全米2位(2016年)の評価を受けている。また,National Institute of Health(以下,NIH)からのグラントは年間1000万ドル以上である。その額は,School of Nursingのグラントとしては全米1位(2015年)であり,アメリカの看護教育・研究を牽引するトップスクールであることがうかがえる。また,Medical School(医学部)とSchool of Nursingの両者がともに上位5位以内にランキングされている大学はUCSFのみであり,保健医療に関する4つの大学院,および隣接するMedical Center/小児病院と連携をとりながら,質の高い教育・研究がなされている。
アメリカのSchool of NursingのトップスクールであるUCSFの視察を通して,若手研究者育成のためのさまざまな取り組みが行なわれ,外部資金による複数のリサーチ・センターを立ち上げ,教育・研究活動が精力的に行なわれている様子を垣間見ることができた。
以下,若手研究者の育て方とリサーチ・センターの運営方法について報告する。
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