特集 看護研究から政策をうみだすために
【翻訳】『Shaping Health Policy through Nursing Research』に寄せて
Patricia A. Grady
1
,
Ada Sue Hinshaw
2
,
緒方 泰子
3
,
深堀 浩樹
3
1National Institute of Nursing Research National Institutes of Health
2Graduate School of Nursing Uniformed Services University
3東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
pp.16-22
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201055
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歴史的にみて現在は刺激的な時代である。世界は先人たちの時代とは全く異なる様相を呈している。人々はさまざまな手段によって,より長寿に,より健康になった。薬剤は多くの疾患の治療と予防に効果的である。新しい技術が次々と出現し,我々の生活によい影響をもたらすことが期待されるが,同時に新しい課題ももたらすだろう。旅はより身近なものとなり,かつては想像すらできなかった文化や生活様式の相互交流につながっている。国家は21世紀においては多文化社会として出現しつつある。人口は急速に増加し,新しい資源が発見・合成されてはいるが,天然資源は減少を続けている。
自身の環境を形づくる能力が,よりよい世界を創るための鍵となる要素である。保健・医療・福祉の専門職にとって,その能力は健康政策(Health Policy)を形づくる能力を指すといえよう。『Shaping Health Policy through Nursing Research』は,自らの研究プログラムによってヘルスケアの改善に大きく貢献してきた米国の一流の研究者たちの成功例の概要を示したものである。これらの成功例は,個々の事例がケアを改善するために大きく貢献したからだけでなく,新しい情報に基づいて変革を成し遂げたからこそ,注目に値するのである。
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