焦点 ソーシャル・サポート・1
解説
各領域におけるソーシャル・サポート研究の現状
社会福祉領域におけるソーシャル・サポート研究
藤井 達也
1
1やどかり研究所
pp.210-218
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200919
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はじめに
わが国の社会福祉は,現在,その理念においても,政策においても,実践においても,大きな変動を経験している。そして,地域福祉(在宅福祉)は,その変動の中心となっており,政策主体,生活主体,実践主体,研究主体がそれぞれの立場からアプローチしている戦略拠点となっている。ソーシャル・サポートは地域福祉の要であり,ソーシャル・サポート研究は,その理念,政策,実践に対して,重要な貢献をなしうるものと考える。
社会福祉領域におけるソーシャル・サポートについての研究は,ソーシャル・ケースワーク研究と同様の長い歴史をもっている(Whittaker,1983)。しかし,ケースワークの母と呼ばれるリッチモンドの『社会的診断論』(1917)が出版されて以後のケースワークは,彼女が主張した「社会的処置」(social treatment)の方向を発展させず,「精神医学の氾濫」と表現されるほどに「精神医学的観点」が浸透し(小松,1979),個人中心の「医学的疾病モデル」が主流となる(佐藤,1985)。
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