英語論文へのアプローチ
研究成績から出発した考察
内海 滉
1,2
1千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター
2千葉大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程
pp.153-160
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200792
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研究論文には必らず,実験や調査や症例などの成績とともに,それを論ずるための一章がある。曰く「考察」「考按」「討議」「討論」「かんがえ」など種々の見出しがついている部分である。これは英語論文ではconsiderationとかdiscussionなどとされている。おそらくその翻訳であろうと思われる。中には,「成績」と一緒にした「結果および考察」などというものもある。成績が掲載された直後に簡略に論じ終えてしまうものである。この場合には,今一度「考察」を書きおこさなくてすむから便利である。ところが,おかしな人もいるもので,「成績」の章でこの形式で論じているのに,再び「考察」の章を設けて同じことを二度くり返しているものもある。さらに「結論」でも論ずるという何ともまとまりのつかない論文もみられる。「考察および結論」という言い方もさっぱりしてよいこともある。簡潔に整理するにはそのほうがよいかもしれない。
簡潔であれ,複雑であれ,「考察」の部分は研究の成績を前にして著者の考えを述べる箇所である。ややもすると「考察」が「成績」を無視して走りすぎたり,「考察」と「成績」とがまったく関係がなかったり,ひどい論文になると「考察」の中でもう一度別な実験をやってみたりすることがある。教科書をまる写しにしたり,「看護の心得」的なお説教やアジ演説になるのは論外であるが,考察らしくない考察は巌しくいましめなければならない。
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