焦点 看護における実験的研究
解説
人類の進歩と実験研究
竹内 均
1
1東京大学理学部地球物理学科
pp.1-5
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200629
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ありのままの自然を調べることを,観測や観察と呼んでいる。これに対して,人間が手を加えた,ある制限された条件のもとで起こる事実の観測を実験と呼んでいる。その実験は,自然科学における有力な武器である。自然科学における実験の重要性を最初に強調したのは,イギリスの哲学者ロジャー=ベーコン(1214-1285)である。
実験という考えの背後には因果律という考えがある。これは「ある原因があれば,必ずある結果が起こる」とする考えである。この場合その原因が1つであれば,話はわりと簡単である。しかし現実には,あるいくつかの原因があり,それらが相互に複雑にからみ合って,ある結果を生じていることが多い。こういう場合に実験が威力を発揮するのである。
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