焦点 人間関係と看護に関する研究
臨床看護研究・7
看護婦-患者関係に関するわが国の研究
中西 睦子
1
,
雨宮 悦子
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.237-246
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200437
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今回は,はじめヘンダーソンのあげた基本的看護の構成因子の第10番目「他人とのあいだに意志を疎通させ,感情を表わしたり,要求その他感じていることを表示できるようにする」ための援助に焦点を合わせることになった。しかしそうした援助はそれ単独に成り立つはずはなく,むしろ看護婦が患者とかかわっていく過程で得られるトータルな成果の一つともみられるので,ここではそうした援助の成り立つ前提としての看護婦-患者関係をとりあげ,それに関する研究をみていくことにした。
まず1968年から1974年までの7年間にわたって,論文検索の対象と定めた雑誌,学会誌注1)13誌から上記の問題を扱った報告を拾った。総合看護の考え方をはじめ,いろいろな看護論の浸透があってか,看護援助を扱った報告には患者理解,人間理解,患者ニードへの接近など,看護婦-患者関係を論ずる場合の中心的課題についてふれていないものはきわめて少なく,研究のねらいや問題,あるいは結論,むすびのいずれかで数多くの論文がこれに言及していた。その中から看護婦-患者関係に一応焦点を合わせていると思われる論文だけを選んだところ,全部で53題の論文を見いだすことができた。それらを次のように分類し,更に,それらのうちから,当初に定めた論文選択基準注2)(術前・術後の看護に関するわが国の研究,本誌6巻3号)に照らして12題の論文をとり出した。
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