研究
看護ケアーの安全性についての調査
荒木 久恵
1
,
石丸 美枝
1
,
小野 久子
1
,
川島 みどり
1
,
木下 安子
1
,
桑野 タイ子
1
,
高坂 みつえ
1
,
太平 寿美子
1
,
土橋 展子
1
,
長谷川 美津子
1
,
安味 登喜子
1
1東京看護学セミナー看護婦不足対策研究班
pp.258-264
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200288
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はじめに
すでに私たちは,勤務体制の構造についての考察1)を行ない,また看護の質を向上させる上で枷となっている現行の基準看護についても,いくつかの検討をこころみ問題提起2)を行なった。これらの研究の過程のなかで,看護婦不足が慢性化している現状から,看護における安全問題がきわめて重要な課題であることを知った。そこでこの問題について系統的な学習のつみ重ねと,事例研究を行なって来た。すなわち1966年11月の例会における武谷三男氏の講演の中で,イギリスのコメット機の事故調査が,その後の航空技術の発達に寄与したことを例に,安全問題の追及は,技術の確立・向上に役立つことを示唆されたのがそもそものはじまりである。
その後1969年5月「ある保健婦の死をめぐって3)」病院における安全性と看護婦の役割について一人の保健婦の死が投げた数多くの問題点を,当事者の病棟の看護婦の参加を得て討議し,これをきっかけに「看護と安全性」をテーマにした共同研究を開始したのである。毎月1回の例会において「水俣病」「白ろう病」「薬の危険性」「安全性の哲学4)」について抄読会をもち,続いて「千葉大採血事故について5)6)」「ペニシリン禁忌7)」「ストレッチャー転落事故」「気管切開後カニューレ装着患者の急死事故」などについて事例研究をおこない,その事故の背景,看護技術上に問題はなかったかということについて討議を深めた。
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