研究
入院中の子供の病院への適応状態および基本的自立の変化とその回復に関する研究
細川 弥生
1
,
波多野 梗子
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.171-184
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200242
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
研究目的
社会生活において,子供は好ましい親子関係に支えられながら自由に活動し,適度の刺激を与えられ,また自ら回りの人やものに触れたり試したりする経験を通して自立していく。両親は子供を愛し,養育し,子供の社会化に大きな影響を与える人としてなくてはならない存在である。しかし不幸にも病気のために入院した小児は,両親から分離し,病院という限られた行動範囲と特殊な環境の中で日常生活を過ごさなければならない。当然そこは小児にとって,各年齢に合った入院前の生活とは別世界として認識されるであろう。そしてこれらの多くの小児は,入院中に身体上の苦痛に出合い,また心理的な混乱や愛情への不満などを持たざるをえない。これに関連した文献はVernon, D.1)たちによって手ぎわよく総覧されている。またこれに伴って,子供の社会的自立はかえって一時低下するであろう。更に入院という外傷的経験は,退院後の情動的問題や社会的自立の発達になんらかの影響を与えるかもしれない。たとえば,Gofman, H.2)たちによる入院時と入院期間中の小児の情緒反応についての研究では,入院後にみられる変化の一つとして,自立の低下があげられている。一
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.