Japanese
English
特集 実践科学としての看護学のための理論
第I部 一般理論
カンファレンス"看護における科学の本質"
看護場面の理解のために—トランスアクション図式
Toward Understanding Nursing Situations : A Transaction Paradigm
Shirley A. Smoyak
1,2
,
中西 睦子
3
1ニュージャージー州立ラトガー大学
2ニュージャージー州立ラトガー大学社会学科
3神奈川県立衛生短期大学
pp.269-277
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200193
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
子供は社会のシステムの中で社会化されて人間らしく長じていく。こうしたシステムは,人間が進歩したり,種々の相互作用を行なったり,またそれを変化させていく上で重要であることは,たびたび論じられてきた。Harlowはその研究の中で,子供の時に適当な情報を与えられないと,動物でも正常に発達しないことを明らかにしている。ことに猿の場合は,生後3〜6か月の間に他の猿と相互に作用し合う機会が与えられないと,社会的に適応できないという例も示している1)。この例は一般化してより高次のシステムに適用できるだろう。あるシステムの下位システムsubsystemが正常に発達するために,xなる段階でシステム体験system experienceが必要であるという場合,それを逸することは永久的な損害となり,あるシステムの中で適切に行動する能力を失なう。たとえば,看護学生や医学生に,その養成過程で相互に作用する機会が与えられなければ,そのことが学習上の欠陥として将来にわたり永続するようになる。換言すれば,まさしくHarlowのいう猿のように,互いに不器用な交渉しかもてなくなる。
ナースは,価値観や文化的要請のそれぞれ異なる家庭という社会システムの中に生まれ,そこで一次的な社会化が行なわれる。その後,看護学校において二次的社会化が行なわれ,その結果,職場での行動の相違にもかかわらず,互いに似たような性格をもつようになる。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.