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「看護研究」発刊によせて—看護界の研究姿勢に期待する
北 博正
1
1東京医科歯科大学医学部
pp.2
発行日 1968年1月25日
Published Date 1968/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200084
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戦後,看護婦の社会的地位が向上したことはまことに喜ばしいことであるが,これは,とくに教育制度の改革に負うところが多い。すなわち,戦前はたかだか高等小学校卒業後2年の養成――といっても,見よう見まねで雑用をしながら,何とはなしに一人前になっていくという徒弟制度――であったものが,現在は高校卒業後3年の教育をうけることになり,さらに4年制の大学も存在し,そのうえ,国家試験をうけるわけであるから,じゅうぶんに学問し,みずから考え,みずから行なうことのできる看護婦が生まれてくることになるので,これは当然のことともいえるが,これまでにこぎつけるのには,とくに初期においては,関係者の苦労は想像に絶するものがあったであろう。
私は10年あまり以前に,運動中アキレス腱を切って,ひと夏入院したことがあるが,当時の看護婦の主力は旧制の人々で,新制の人は卒業したてのうえ,数も少なかった。それでも戦前に比べて格段の進歩がみられ,私は喜びのあまり,看護関係の雑誌に駄文を投稿したことがある。昨年2回入院したとき,うけた看護についてみると,新制の人はすでに主任看護婦から婦長クラスにも及んでおり,旧制の人たちも,すっかり新しい看護態勢にとけこみ,みごとなチーム-ワークのもとに勤務しているのを見聞して,たいへん心強く思った次第である。
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