総説
行動科学とはどういうものか—精神科領域における現状を中心に
菱山 珠夫
1
1群馬県厩橋病院
pp.97-103
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200050
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はじめに
最近わが国でも,行動科学的研究ないしは行動科学的接近ということばが各方面できかれるようになってきた。ところが,では「行動科学とは何か?」ということになると,その定義は非常にあいまいであり,このことばを使用している人々の間でも,その立場立場によって,かなり異なった意味をもってきているのが現状である。
筆者の専門である臨床精神医学領域でも,一部の人々の間で,最近いわゆる行動科学的研究ということばが使われてきている。編集部が私に今回のような小論を依頼されたのも,このような事情をふまえてのことと思われる。しかし,臨床医である私が行動科学全般についての完全な総説を書くことは無理でもあり,あまり意味がないようにも思われる。そこで,最初に本来の意味での行動科学とはどんなものかについてかんたんにふれ,その後看護者である読者と直接関係がある臨床医学領域,とくに精神医学における行動科学的研究とはどのようなものかについて,生活療法・看護への応用といった点についてもできるだけ考慮を払いながら,具体的に述べていくことにする。
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