連載 看護研究の基礎 意義ある研究のためのヒント・第12回【最終回】
Mixed Methods研究―Mixed Methods Research
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.712-720
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100729
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人間をとりまく現象は複雑なので,多種多様な視点から研究を進めるMixed Methods(またはMultimethod)研究は,看護研究の方法として非常に重要であると思うし,今後その役割はますます大きくなっていくであろう。量的データと質的データを用いて研究するということにおいては,Mixed Methods研究と認識されていなくとも,以前から数多く実施されてきた。また研究を進めていく上で,質的研究と量的研究を積み重ねていくことは不可欠であると思う(坂下,2011)。
しかし初学者には,単一の研究,すなわち1つのResearch Questionに答える研究中において,質的研究と量的研究を並行し統合する狭義のMixed Methods研究は勧めない。二兎を追うものは一兎をも得ず。初学者は量的研究,質的研究それぞれ単独の実施さえ難しいので,両者を実施するとなるとそれぞれの分析が中途半端になる危険性があり,また得られた結果を統合し,十分咀嚼することが難しい。同一の対象から複数種類のデータを得ることは,研究効率を考えるとよいが,そのような場合でも,まずはそれぞれに分析し発表することを勧める。初学者なら,質的研究法,量的研究法をしっかり学び,それぞれの研究法において論文を仕上げ,その長所短所を痛感した上でMixed Methods研究の適用を考えることを勧めたい。
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