焦点 看護学におけるTranslational Research─振動による褥瘡の治療促進をめざした機器開発・検証のプロセス
【証明─振動による効果の検証:臨床試験パート2】
壊死組織を有する褥瘡に対する振動の効果
宮永 葵子
1,2
,
須釜 淳子
3,4
1池田リハビリテーション病院看護部
2金沢医科大学大学院医学研究科生体機能形態医学分野機能再建外科学
3金沢大学医薬保健研究域保健学系臨床実践看護学講座
4東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻アドバンストスキンケア(ミスパリ)寄附講座
キーワード:
褥瘡
,
振動
,
壊死組織
,
創傷治癒
Keyword:
褥瘡
,
振動
,
壊死組織
,
創傷治癒
pp.473-478
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100475
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振動器の適応範囲を拡大する
前稿において,Stage I(I度)褥瘡への振動の安全性と有効性が明らかになった。そこで,このエビデンスをもとに,壊死組織を有する褥瘡においても治癒を促進するのではないかと考えた。褥瘡の治癒遅滞要因の1つとなっている創底の壊死組織(Schultz et al., 2003)は外力によって組織の血流が不可逆的に障害され,組織が阻血状態に陥ることにより発生するとされている(Witkowski & Parish, 1982)。この壊死組織を有する褥瘡の治癒促進には,現存する壊死組織の除去と新たな壊死組織の発生防止が必要となる。
壊死組織除去には,ハサミやメスで除去する外科的デブリードマン,外用薬,ドレッシング材を使用し壊死組織を自己融解する方法や圧洗浄などの物理療法が推奨されている(日本褥瘡学会,2005)。一方,新たな壊死組織の発生防止には,血行を促進するケアが必要であるが,ガイドラインには記載がない。
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