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ヨーロッパの制度におけるフィンランドの高等教育と研究
フィンランドの教育制度は,この20~30年間で大きく変化してきた。最初の大学は1640年にトゥルク(Turku)に設立された。当時,トゥルクはフィンランドの首都だったが,フィンランドはスウェーデンの1地域だった。その後,フィンランドはロシアの支配を受け,19世紀前半に大学をヘルシンキに移した訳註1)。これが現在のヘルシンキ大学であり,ヘルシンキ大学はフィンランドで最も古い伝統的な大学とされている。20世紀前半にはフィンランドが独立し,その最初の年に新しい大学がヘルシンキとトゥルクに設立された。特に第2次世界大戦後には,多くの新しい大学が国内のさまざまな地域に設立された。大学のほとんどは公立大学だが,近年は私立大学も見受けられるようになった(Varmola,2002)。
1991年,新しい高等教育改革が行なわれた。改革によってもたらされた高等教育のモデルは,ドイツや英国,オランダなどを参考にしていた。この改革によって新しく設立された,専門性を高めた応用科学大学(University of Applied Sciences ; UAS)は,教育と研究によって理論と実践を兼ね合わせることにより,「働くことを含む人生(就労生活)」への挑戦と向き合うことをめざした。セイナヨキ応用科学大学(Seinäjoki UAS,以下本学)は,フィンランドにおいて最初に設立された応用科学大学の1つである。応用科学大学は新しいスタイルの大学であるが,応用科学大学として統合される前のそれぞれの学校や学部は,例えば,100年以上の歴史をもつヘルスケアの学校や,同等の歴史をもつ農学や林学の学校など,それぞれの有する歴史はたいへん長いものであった。応用科学大学は自治体もしくは自治体と民間組織の共同機関に所属する。しかし,新しい教育課程の許可は教育省が行ない,資金援助は政府と各自治体から行なわれている。これらの応用科学大学の重要な目的のうちの1つは,国際的な活動を増やしていくことであった。
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