焦点 看護学の基盤形成にいかすメタ統合―質的研究の蓄積と活用
扉
石垣 和子
1
,
山本 則子
2
1千葉大学看護学部
2東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
pp.350
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100325
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日本では,2008(平成20)年4月1日現在,看護系大学が167となり,看護系大学院は修士課程が109,博士課程が46,専門職学位課程が1,日本看護系学会協議会に加入している看護系学会が34に達している。それに呼応して看護研究が大変活発な状態に至っており,質的な研究手法を用いた興味深い成果の公表も大変多くなっている。
ところで,質的な研究の成果は,数字ではなく言語を用いた表現で示される。すなわち質的研究は,数字化することができないような事象を扱うのに適しており,存在や認知,思考などの連続的で多面性のある内容を扱えるという利点がある。しかし,結果として研究者が示す言語的に表した概念が,どのようなイメージを表現する意図で用いられたのか,読者がその言語的表現からどのような内容を汲み取るかなどにおいては,大変複雑な解釈プロセスがある。そのことは研究成果のその後の活用においても,解釈上の注意深い検討を要する。したがって,そのような作業を行なって先行研究を意味づけ,その後に積み上げる形で次の研究課題を設定することよりも,手っ取り早く対象や場を変えて,一から研究を行なうケースのほうが多くみられる傾向がある。その結果,似たような研究成果が多く産出されるが,相互の関係性は明確ではないという混沌とした状況がもたらされる。
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