特集 ケアの意味を見つめる事例研究─現場発看護学の構築に向けて
扉
山本 則子
1
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻
pp.403
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201539
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本特集では,私たちがここ数年取り組んでいる「ケアの意味を見つめる事例研究」について,これまでに蓄積した私たちの考えをまとめている。
対人の実践である看護に多様なタイプの知が求められることは,古くから指摘されている(Meleis, 2017)が,実際には,看護学の学問領域も,およそ知の蓄積と考えられるものは実証主義の枠組みで生み出すことを中心に進められてきた。しかし一方で,そのような枠組みでは追究しきれない個別の事例に関する詳細な検討も,実は看護の中では重視され,長い歴史をもっている。看護学の知を考える上での課題は,実証主義的な考え方に基づく取り組みこそが科学であり学術であると目される中で,実践に関する事例研究が学術的な研究とは認知されてこなかった点にある。
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