焦点 科学的な質的研究のための質的統合法(KJ法)と考察法(II)
修論「デイサービスを通じた高齢者の他者との関わり―いきいきとしてみえる高齢者を対象に」の解説と質的統合法(KJ法)による分析/コメント
森野 愛
1
,
正木 治恵
2
1デイサービスさんぽ道
2千葉大学看護学部
キーワード:
関わり
,
高齢者
,
デイサービス
Keyword:
関わり
,
高齢者
,
デイサービス
pp.103-110
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100297
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はじめに
高齢者は,退職などさまざまな理由により,人付き合いが少なくなりがちである。さらに,家庭や地域社会のなかでの人と人との関係も変化している現在,孤独を感じている高齢者が増えてきているように思われる。特に老いを自覚し,生活に不自由さを感じている要介護状態の高齢者は,不安や寂しさ,心細さを感じながら生活していることが多い。
こうした高齢者にとって,人との交流は,特に心理面で大きな意味をもつだろう。高齢者の生活をサポートする看護師にとっては,高齢者の身体のみならず心理的側面からアプローチすることが必要である。なかでも,高齢者の人との関わりは,高齢者の意欲や生きがいにつながるものであり,その影響や効果は一時的なものではなく,高齢者の生活に持続していくものであるという意味でも,重要であると考える。しかし,実際に看護師が病院や施設,あるいは訪問看護師として高齢者と関わるときに,高齢者が他者とどのように関わっているのかを意識することは,家族との関わりを除いて,ほとんどないのではないだろうか。
そこで,要介護状態の高齢者が,どのような思いでどのように他者と関わっているのか,特に,いきいきとしてみえる高齢者は他者とどのように関わっているのか,を明らかにしたいと考えた。この問いが明らかになることで,高齢者の他者との関わりの意味や,高齢者が他者との関わりを通じて得ているものを理解し,高齢者が自分らしく,いきいきと,豊かな生活を継続していけるように支える看護援助の手がかりになると考えた。
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